arukikkuの日記

映画、ゲーム、小説、漫画、アニメ、などの感想。独断と偏見で好き勝手に書いてます。

【気分別】個人的に「見てよかった!」と思うオススメの映画たち

stayhomeということで、家で時間があるしどうせなら映画でも見るか、とか、この苦しい時期に映画に寄り添ってもらいたい、という方用に、役立つかわかりませんがオススメ映画をまとめてみました。

経験上、映画の良し悪しは見るときの気分や状況に非常に影響されると思っているので、こういう気分のときはこれがいいんじゃない?というのを独断と偏見で並べております。合わなかったらすみません。作品の楽しみを損なうようなネタバレは避けつつ、作品のおすすめポイントや雰囲気などをまとめています。ちょっとでも気になった作品があれば、作品HPやyoutubeとかで予告編だけでも見てみてください。

それではどうぞ~

 

【前向きになりたいとき】

・きっと、うまくいく

 インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの3人が引き起こす騒動。三人の友情と、どんなときも励ましあい、前に進んでいく姿、その底抜けな前向きさに胸が熱くなる。こういうご時世だからこそ、多くの人を勇気づけて救ってくれる作品だと思う。

最強のふたり

 故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。学歴とか、見た目とか、地位とか、そんなのはおまけでしかなくて、人間としてどうかでお互いを好きになったり、一緒に働こうと思ったり、人生を過ごそうと思ったりする、それが本当の人間らしい関係だよね。

ショーシャンクの空に

 人生賛歌の名作。どこにいたって、人は人情と希望で生きていけるものなんだと感じさせてくれる。アンディーのような教養のある大人になりたい。

・its a wonderful life 

 主人公ジョーンズは8000ドルという大金を失い死を考える。そこに天使があらわれ、彼がいない世界をジョーンズにみせて、、、というお話。自分の価値を見つめなおすきっかけになるかもしれない。

東京ゴッドファーザーズ

 今敏監督によるアニメーション作品。ホームレスとオカマが築く、あったかい家族の話。

 

【頭を空にして笑いたいとき】

・ジョニー・イングリッシュ~気休めの報酬~

  やたら本格的なアクションシーンでさえなぜか全部笑える。

・ホットファズ

 そのへんの警察二人が、なんか変な村に突入して、あることに気づいていく。本人たち物凄く真面目にやってるんだけど、絵面でつい笑ってしまう。まじで、面白い。

テルマエロマエ

 おそらくスタッフの並々ならぬ努力により精巧に再現されたローマ、見事にほとんどみんな日本人だということを忘れさせてくれる濃いキャスティング、それらをローマ帝国史でもその壮大な権力争い・領地争いでもなく、「お風呂」に費やす精神、すばらしい。お風呂いっこでも時代をめっちゃ飛び越えるとこんなにロマンがある。

 

【子役の活躍がみたいとき】

・SUPER8

 SFのわくわくを詰めた少年たちの物語。面白くて、ちょっと切ない。

・ボビーフィッシャーを探して

 天才チェス少年の物語。周りの大人たちも魅力的なヒューマンドラマ。

 

 

【凝っていておしゃれで面白いものがみたいとき】

・グランド・ブタペストホテル

 文明のあらがい的なものをほんの少しほのめかしつつ、ひとつの味わい深く愛されたホテルの一生を描いた物語。

・ミックマック

 主人公バジルが兵器製造会社あいてに変な仲間とともに幸福ないたずら(ミックマック)をしかけまくる!フランスの映画でとにかく映像が凝っていておしゃれでそれを見ているだけでも楽しい。個性あふれる、楽しさと温かさを詰め込んだ作品。

 

【ミュージカルがみたい!!とき】

レミゼラブル

 セリフのように歌う、という自然さを追求したレミゼの映画版。これぞ総合芸術。革命に命を懸ける若者たちの合唱に胸打たれる。

・マンマミーア!

 ABBAの楽曲をきいたら全人類おどらなきゃいけない。

 

【なんでもいいから精神に打撃をうけたいとき】

・セッション

 夢と、プライドのためにすべてを懸けて、懸けつくす青年と、それを全力で利用し、折りにくる鬼教師の物語。ジャズが題材だけど、ある意味人間性をとっぱらったスポコン作品。何かしらくすぶっている人はぜひ見るべき。

・パラサイト~半地下の家族~

 ポンジュノ監督最新作。格差という社会派的要素を、非常に自然にストーリーになじませ、あれよあれよと展開して気づいたらあらゆるものが崩壊している、という衝撃。社会問題を映画に取り入れることは、義務ではなく知的面白さゆえの行為であり、それをどうすれば極上のエンタテイメントにできるか、の答えを出してくれた作品。

 ・母なる証明

 殺人犯に仕立てられた息子の無実を晴らすために奔走する母親を描く一作。人間が一線を越えるのはどういうときか、真実よりも重要なものが何か、を考える契機となると思う。

 

【人種差別について考えたいとき】

第9地区

 1980年代に、突如UFOが飛来し、政府は異星人「俗称エビ」を難民として受け入れるが、やがて彼らの特別居住区「第9地区」はスラムと化して、、、という内容。この映画を、南アフリカ出身の監督がとっているということの意味が重い。

・ホテルルワンダ

 ルワンダ虐殺を描いた作品。フツ族ツチ族で、信じられないような虐殺を繰り広げる。正直日本人の自分から見ると、見分けをつけるのも難しいこの違いで、命の扱いが変わってくる。衝撃作。

 

【女優たちの突き抜けたお芝居がみたいとき】

ブラックスワン

 ナタリーポートマンのナタリーポートマンによるナタリーポートマンのための映画。周りの登場人物たちも皆凄く魅力的なのに、それが主人公のニナを食う瞬間が一瞬たりともない。終盤もはや何か乗りうつっているとしか思えない。彼女の気迫、甘えのない信念、人間性すら懸けている舞台から目が離せない。

・キャロル

 女性たちの、愛の物語。凄く映画らしい映画で、惹かれあう二人のしぐさの一つ一つから時代を反映した小物たち、旅の景色まですべてがとにかく味わい深く美しい。ルーニーマーラー、ケイトブランシェットのダブル主演作。

・マーガレットサッチャー~鉄の女の涙~

 鉄の女の人生を、晩年まで描く作品。名優メリルストリープが、サッチャーとしてそこにいるという格風と、孤独。女性へのエール的な作品ではなく、人生の哀しみと、理念と愛するものどちらを選ぶべきかという普遍的テーマを描いている。

・八日目の蝉

 井上真央の諦観と戸惑い、永作博美の執念と愛情、そして小池栄子の生きづらさと優しさ、この3つが非常に魅力的。中島美嘉の主題も作品をストレートに表現していて良い。

 

【男優の濃いお芝居が見たいとき】

・偽りなきもの

 マッツミケルセン主演。デンマークの小村を舞台に、集団心理を描く作品。なるべく予備知識なしで見たほうがいい。マッツの深い瞳と真摯な姿勢に胸を打たれるとともに、人間の怖さを感じる一作。無駄なシーンがなく、助演のキャストも皆非常に巧みで、完成度が非常に高いのも魅力。

・ダラスバイヤーズクラブ

 1985年、テキサス生まれの電気技師ロンはHIV陽性と診断され、余命30日と宣告される。米国には認可された治療薬が少ないことを知り、ロンは無認可の薬やサプリメントを売る「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが、、、。マシューマコノヒーの抗いと、ジャレッド・レトの美しさに引き込まれる。ジャレッド・レトアカデミー賞受賞スピーチがとても印象的だったのでぜひググってみてほしい。

・13人の刺客

 暴君を暗殺すべく13人の刺客が、200人を相手にひたすらたたかう!立場は違えど信念を貫き通す男たちの魅力的なことこの上ない。そしてなんといっても後半1時間弱におよぶ殺陣シーンの見ごたえが凄い。泥臭くて、汗臭くて、生生しくて、本物を感じる。稲垣吾郎演じるキャラの嫌な奴っぷりもすごい。

・笑いの大学

 個人的に三谷幸喜監督作品で一番好き。第二次世界大戦開戦間近の東京を舞台に、検閲官と喜劇舞台作家の笑いを巡る攻防を描いたコメディ。笑えるやり取りが中心だけど、そこに懸けるものは熱く重い。役所広司稲垣吾郎が魅力的。

 

【頭をフル回転させたいとき】

インセプション

 夢の中に入り込む、というありがちな展開を最新映像技術を駆使してガチで作りこんだ一作。いま何層目なのか途中で混乱するくらい頭をフル回転しないとついていけないが、現実と夢との境目があいまいになる特有の感覚を味わえる一作。

 

【争いについて考えたいとき】

猿の惑星 ライジン

 争いがなぜなくならないのか、を突き付けてくる作品。主人公シーザーが優れたリーダーであるがゆえに、争いに向かっていく過程のすべてに虚しさと苦しさを感じる一作。前作のジェネシスから見ると、よりシーザーへの理解が深まる。

・ゼロダークサーティ

 ビンラディン殺害に至る現場の経緯を描いた作品。キャサリンビグロー監督による映画はハートロッカーしかり、とにかく臨場感が凄い。その場にいるような息の詰まる感覚と、人間が人間を追い詰めるその容赦のなさ(実際よりかなり描写は軽くなっているらしいけど)。マクロでみて色々言われることよりも、現場にこそ真実があるだろうし、戦場のそれを知るために臨場感を垣間見るのに意味深い映画ではないかと。

 

 

【理不尽について考えたいとき】

チェンジリング

 アメリカの警察と司法の闇が鬼気迫って描かれるアンジー主演作。実話、ということに衝撃をうける。イーストウッド監督の切り取り方がどこまでもドライだからこそ、辛うじて作品としてのテイをなしているのではというくらいに、理不尽。

・ブラッドダイヤモンド

 ダイヤがぜんっぜんキレイに見えなくなる作品。ブラッドピット主演。

ヒトラーの贋札

 人間性とか人権が尊重されない時代に生き残るために何が必要だったのか、を考えさせられる作品。始終とにかく暗く苦しい。

クロッシング

 北朝鮮脱北者の父と、その帰りを待つ母子の話。100名ほどの脱北者の証言をもとに、北朝鮮の収容所や脱北者、貧困を描いている。BGMがちょっと微妙だが、北朝鮮のことを描いた映画ってなかなかないので、近くの国についてちょっとでも知る契機になるのでは。

 

【人間の良心を信じたくなる気分のとき】

善き人のためのソナタ

 1980年代、表現の自由が弾圧されていた時代に、国家保安課の監視官である主人公がある劇作家を監視するよう命じられて、、、。役割を果たすというのは、上司から与えられる任務を果たすことなのか、それともすべきと思ったことを成すことなのか。それが一致するのがもちろん理想だけど、そうでないことも、わからないこともたくさんある。なら、後悔しない方を選びたい。そんな気持ちにさせてくれる傑作。

風立ちぬ

 飛行機を作りたくて、まっすぐ頑張っていたら、戦闘機をつくることとなった。もとは善意でも、その結果はそうでない、ということは往々にしてあるし、人間がその流れに逆らうことの難しさは、長く生きれば生きるほど感じる場面があると思う。それでも生きねば、なんだよなー、と。

 

【家族との関係を考えたいとき】

・運び屋

 クリントイーストウッド監督作品。長年疎遠になっていた娘との確執をしこりのように抱える主人公は、自身の生活のためある運び屋を始めるが、次第にそのブツと自分の置かれている状況のヤバさに気づいていく、、、。大監督であり、かつドライな映画作りを続けてきたイーストウッドが、この年齢にして最近ずっと家族との関係の大切さ、それを軽んじないことを重みを描き続けてきてくれていることは、多くの人にきっと希望を与えてくれていると思う。「人生の特等席」もおすすめ。

・トイレット

 もたいまさこ演じるばっちゃんと、3人の子供たちの奮闘記。ばっちゃんの穏やかでちょっと変わった佇まいと、彼女に見守られながら自分自身と向き合っていく三兄弟。笑えて泣ける、家族のお話。

・カラフル

 天上界と下界のはざ間でさまよっていた“ぼく”の魂は、人生に再挑戦するチャンスを与えられ、自殺したばかりの内気な少年・小林真の体に入り込む。登場人物たちへの原恵一監督の優しく温かいまなざしを感じる、家族を想う映画。

愛、アムール

 夫婦の、究極の愛を、老々介護を通じて考える一作。重いので、精神にゆとりがあるときに見たほうがいい。谷川俊太郎さんがこの映画を1文で表していてすごいなと思った。「我々は事実をみたのだ。涙をながす必要はない」。

 

 

 

 

 

 

 

FF(ファイナルファンタジー)、主に後半作品の作品ごとのおすすめポイントを語る。

~はじめに~

  昨晩NHKで放送されていたFF大投票をみて、「うわ、FF語りたいわ」となったので、プレイした作品を中心に、好きなポイントをひたすら語ります。

 自分がこれまでにプレイした作品は、FF9、10、10-2、12、13、13-2、ライトニングリターンズFF13、FF15、FFタクティクス、FF零式、視聴した作品はアドベントチルドレン、KINGSGLAVEFF15です。比較的新しいのが多いですね。ちなみに異端なのはわかってるけど、一番好きなシリーズは13、次が9とタクティクスです。でもどれも好きです。

 今回はこれらを作品ごとに、おすすめポイントを3つ挙げつつ、プレイ当時の感想とか各作品への想いのたけを語ろうと思います。FFは、きっと人によっていろんな意見があるので、あくまで超主観です。あんまり思い出補正だけにしたくないので、微妙だなと思ったことを含めてかなりぶっちゃけで書いています。文体も適当です。でも愛はあります。ご容赦ください。

 

FF9

・ずっといたくなる世界観(FFの中で多分一番ファンタジーしてる)

・哲学的なテーマ(キャラみんな人生に悩んでいて深みがある)

・グラフィックが地味にすごい(たまにくるガチムービーシーンが毎回凄すぎてビビる)

 FF9はぶっちゃけ超長かった(確かクリアまで70時間くらいかけた気がする。)けど、もうキャラが全員良すぎて、愛着がわきすぎて全然苦にはならなかった。タイトル画面でほっとくと、各キャラクターの背負うテーマと名台詞が哀愁漂う感じで流れるんだけど、これがマジでFF9のすべてを象徴しているって感じ。やるか迷ってる人はそれだけでも見てもらいたい。生きる意味とか忠義とか愛情とか信念とか、みんなそれぞれにめっちゃ悩みつつ旅してるんだけど、そのなかでお互いを守りあい、気にかけて進んでいくのが良い。

 バトルもATBアクティブタイムバトル)という、各キャラごとの待ち時間が無くなり次第攻撃できるというスタイルで、癖がなくてやりやすいし、キャラごとの特性がはっきりしているのでお気に入りの戦い方が見つかりやすいはず。個人的にはスタイナー、ビビ、フライヤ、ジタンを特に鍛えていた。この4人本当すきだわ。。キャラの魅力としては、クイナの自由に生きているようで実は芯がめっちゃ通っている感じ、フライヤの格好いいけど実は一途で素敵な女性なところ(あとダンスがシュールで可愛いところ)、ビビの儚さと男前さ、スタイナーのおっさんなのに戦闘だと終盤超絶強いところ、ベアトリクスの色気、ジタンの男気(おそらくFF史上最上のメンタルイケメン)、ガーネットの意思の力など、惚れるポイントがめっちゃある。

 あとミニゲームな。〇、△、しゃがむ、はいジャンプ!、みたいなやつが序盤あるんだけど、これが本当に永遠にできる。ミニゲームはどれもシンプルだけど面白いものが多く、本当に永遠にやめどきがないので、早々に切り上げてストーリーを進めることをお勧めしたい。

 

<FF10、10-2>

・新時代感(フルボイスとグラフィック、モーションキャプチャーが革新的)

・とにかく深刻なストーリーとキャラの豊かな感情の動き

・異文化感 

 今となっては当たり前になったフルボイスと超絶グラフィック、モーションキャプチャーなどを世に広めた作品。そういう革新的な挑戦をしているのがFF最大の魅力だと個人的には思う。でも超正直に言うと、小さいころ、これを叔父がやっているのを最初に見たときは、「うわ、きもちわる!」と思った。口の動きとか顔とかリアルで、めっちゃ感情的にしゃべっているというのが当時理解の範疇をこえていて、なんか異質なものをみた、という印象だった。けど大学生くらいになってはじめて自分でプレイして、ストーリーの重さと、なによりティーダやユウナが過酷な運命に翻弄されつつ頑張るのに色々報われない様に苦しくなってしまい、当時ゲーム初心者だった自分には、「え、ゲームってもっと単純だと思ってたんだけど、めっちゃ複雑な感情爆発させてくるじゃん、、、」と驚いた。恋愛をかなりストレートに描いているところも珍しい。ティーダとユウナが好きになれそうな人には、かなり楽しめるのではないかと。自分はティーダもユウナもそこそこ好きになったけど、それ以上に適役のシーモアがしつこすぎて逆に愛着がわいた。

 ただ、バトルシステムがターン性で戦略性があまりないのと、キャストの感情のお芝居に絵が若干追い付いていないのが気になってしまって、正直そこまで超好きというわけではない。けどエスニック調の世界観とか、挑戦的で新しい部分が凄く多い作品なので、価値深いゲームだとおもう。

 FF10-2はさらに挑戦的で、まさかのユウナを着せ替えさせてアクティブに動かす、しかも音楽はエロかっこいいで当時はやった倖田來未、という、何を考えればその路線になるんだろう、というスタイル。これもFF10ファンには色々衝撃を与えたと思うけど、地味にバトルシステムはかなり面白くて、鳥山さんディレクター作品の戦闘の面白さには信頼がおけるな、と察した作品だった(コンセプトはちょっと合わなかったけど…)。召喚獣との絆に重きを置いていたのも印象的。

 良作ともリマスターがPS4で出ているので、それをやるのが良いと思う。

  

<FF12>

・10とは打って変わって落ち着いた世界観(トルコ風、油絵のような質感。)

ガンビットシステム(ほっといてもみんな勝手に戦ってくれる)

・より鮮明になった映画感

 アンジェラアキの主題歌とドラマチックなCMで話題になったFF12。この作品が楽しめるかどうかは、8割「ガンビットが合うか合わないか」にかかっていると思う。

ガンビットは、プログラミングみたいなもので、こういう条件下ではこれをしろ、というのを戦闘前に組んでおいて、シームレスバトルに突入するとその通りに各キャラが動く、というもの。基本これをミスると勝手に死ぬし、うまくハマれば勝手に勝つ。完全に主観だけど、多分理系の人のほうが本作にはまりやすいと思う。自分はちょっと面倒になってしまって合わなかったけど、システムとしては間違いなく面白みがあるので、一度試して合うか合わないか見てみるとよいかも。最近ゾディアックエイジという、FF12のPS4版が出たのでそれをやるのが良いと思う。

 

<FF13、FF13-2、ライトニングリターンズFF13>

・尖りすぎているFF(万人受けよりコンセプトに全振り)

・超美麗映像と超美麗キャラ(リアルというか、もう現実より全然キレイね)

・スタッフの成長(批判を毎回次作に反映する実直さ)

 初めてリアルタイムで追いかけたFFなので、思い入れがめちゃくちゃあることを抜きにしても、もう少しフラットに評価されていいFFだと思う。このシリーズは発売後にその一本道さとキャラのイタさ(実際プレイすると言動の理由がわかるんだけど、序盤だけだとただのイタい人にみえてしまう)でめちゃめちゃネットで叩かれて、それ以降もずっと叩かれ続けた受難のシリーズだったと思う。確かにPS3初のFFでこのためにPS3買った人が多くて、何年も待っての待望の新作で、おまけにPVが超面白そうだったため、期待値が高かったのに比べ、序盤の戦闘は退屈だしスノウはバカ丸出しでテンションについていけないし自由度もない、というギャップに面食らって絶望したファンが多かったのは納得できる。でもグラフィックは本当にスタッフ死ぬほど頑張ったんだろうなというのが伝わるくらい美しいし(パルスに降り立つときやエデン帰還時のムービーは今見てもすごいと思う)、戦闘システムも導入が終われば戦略性が高くて面白いし(12秒ルールやDDD、シーンドライブ中のAAAへの切り替えの爽快感など)、音楽もスタイリッシュで良い。これだけでも、序盤がまんして進める価値はあるんじゃないかなぁと個人的には思う。ここからは余談だけど、発売直後にスタッフの人格否定とかまで発展していた当時の叩きぶりには、正直ネットの怖さを感じた。このシリーズを追いかけて一番思ったのは、5つの「悪いとこもあるけど良いところもあるね」という意見よりも、1つの「死ぬほど悪い」という意見のほうが圧倒的に拡散するし真実のように受け取られるということ。そういう意味で、ネット評判の影響をもろにかぶった作品だった。個人的には、素人だけど、ゲーム業界って尖ったゲームが出れば出るほど面白く豊かになっていく巨大な実験場みたいなものだと思っているから、そういうものでクリエイターが委縮して尖ったゲームを作りにくくなる環境になるのは、面白いゲームを求めるユーザーのためにならないと思っている。

 そんなこんなで叩かれまくったFF13だが、まさかの続編が出た。しかも主人公総とっかえでシステムもタイムトラベルの自由選択ものになって、おまけにセリフやストーリーも少し選択式になって、一本道とか遊びがないことへの批判に超真正面から度正直に答えた作品になった。あれだけ叩かれてもめげずに続編作ってダメだといわれた点を改善しているスタッフの姿勢に驚いたし、良いゲームをつくってみんなに遊んでほしいという姿勢が強いんだということを感じて、このシリーズがより好きになった。変わった点が多かった一方で、戦闘システムは引き続き面白く(レベルデザインはだいぶ初心者向けになったけど)、世界観もスクエニがつくった神話の世界を一貫して描く、という姿勢を貫いていて、その突き抜けぶりに好感が持てた。(まぁ、シークレットエンディングはとても不親切だったけど。超がんばってフラグメント集めてたどり着いたシークレットがあれじゃみんな不満爆発するわ。)

 なにはともわれ、そういった改善と一貫性を積み重ねた結果、驚くべきことに三作目のライトニングリターンズが総合的に非常に面白いゲームになっていた。ATBの完成形なんじゃないかと思わせるアクション性を兼ね備えたバトルシステム、世界を救えないけど人をなるべく救う、というコンセプトのもとに宗教や自然感を一つ一つ強化した印象的なロケーション、時間制限によりスケジューリング能力を試されるゲームデザイン、ライトニングを魅せるというコンセプトにかなった終盤のシナリオ展開など、とても面白かった。特に戦闘はFF最高傑作ではないかと思うくらい素晴らしくて、このシステムでもう一作作ってほしいくらい好き。

 社会人になって新たに感じた凄さとしては、この3作、特に2作目以降は、ほぼ2の短期スパンで発売にこぎつけており、最近のA級タイトルがどれもめちゃめちゃ開発期間が長くなってしまっていることに鑑みると、これはかなり凄いことだったんじゃないかと思う。

 初めから三作目のような作品を出せていたら、もっと多くの人に受け入れられたんだろうけど、いろんな経緯があって最終作にたどり着いたからこそ、この作品は意味が深まったんだと思う。こんな尖ったゲームを、紆余曲折を経ながらもちゃんと完結へたどり着かせたスタッフさん方、その姿勢を応援し続けたユーザーの方々に感謝したいくらい、自分にとってはお気に入りのシリーズになった。もし気になった人がいたら、ちょっとでもFF13の世界に触れてほしい。

 

<FF15>

・仲間の絆をもっとも重視したゲームデザイン

・スタートは都庁!?な現代風FF

・ダイナミックな召喚獣

 ナンバリング最新作。本作には明確な正しい遊び方があって、それはストーリー進行を急がないこと。仲間とのたわいもない日々をなるべく端折らずに楽しむことがマジで大切。その友情が後半で効いてくるので、それを楽しんでおかないとトントン拍子に話が進んでおわる、という印象になってしまう。自分の場合、発売日がちょうど司法試験の受験の7か月前とかで、とにかく速攻でクリアしなきゃ合格に支障が生じる状況だったため(そもそもやらないという選択肢もあったがFF好きすぎてとれなかった)、それはもう急いで序盤のサブクエとか全部すっ飛ばしてメインストーリーだけ追った結果、なんかあっというまにさらっと終わってしまった。特に召喚獣とのバトルなどは迫力もバトルもすごくて、夢のようなゲームだなと思ったものの、キャラ4人にそんなに愛着もない状況でノクトの決断や終盤のシーンに入ってしまったため、このゲームのポテンシャルというか、カタルシスを理解することができなかった。仲間との絆を深めて愛着を強めておけば、最後のシーンはかなりグッとくるものになったと思う。戦闘はアクションになってサクサクだし、オープンワールドだから自由に動けるし、ゲームとしての難易度もそこまで高くないので、今後プレイする方はぜひ仲間との友情を楽しんでほしい。

  派生作品のKINGSGLAVEを見てからプレイすると、あの話で意思を継いだ○○が○○みたいな感じの感動があるので、ぜひプレイ前に見てほしい。映像とか、凄すぎて驚く。スクエニはいろんな作品とか歴代FFのスピンオフをCG映画にする事業をもっとやったらいいんじゃないだろうか。

 

<FFタクティクス>

・重厚なストーリー(生まれの格差により一生を左右される理不尽など)

・キャラの魅力と多様なジョブにより味わい深いシミュレーションゲーム

・ドット絵の表現力が半端ない

 FF9と同時期くらいに発売していたので、かなり昔のゲームだけど、今やっても古さを感じない普遍的な魅力を出す領域に到達していると思う。ナンバリングと違い、シミュレーションゲームなので、それぞれが役割をもってフィールドの駒を進めながらチームで戦闘することとなる。この戦闘では誰をどこに配置しようか、誰にどの役割を担わせようか、というのを、各フィールドの特性などに合わせて選ぶのが面白く、何手も先を読みながらキャラを動かすことが求められる将棋のような戦略性がある。まずそれが面白い。

 また、ナンバリング作品よりも抽象的な部分が多いものの、生まれや能力の差による苦しみ、権力者の腐敗による国民の苦しみなど、かなり社会的なテーマを描いており、キャラクターのセリフも切実なものが多い。絵はドット絵とイラストで展開するので

そういったテーマでも受け入れやすく、ストーリー展開も割と早いのでテンポよく進められる。また、かなり驚くような展開も多く、自分もとある人物の末路にはプレイ当時かなりショックを受けた。

 また、ドット絵なのに風が吹いているように感じる、悲しんでいるのがわかる、残酷さや血なまぐささを感じる、といった場面が多く、その表現力に驚かされる。ドット絵はプレイヤーの想像力が豊かなら豊かなほど、印象的な場面になるという意味で、最近の緻密かつ詳細なグラフィックを求められる風潮より表現の幅が広かったのかもしれない、という気さえする。

 一点注意すべきなのは、ちょっと昔のゲームなので今のように新設設定になっておらず、リオファネス城での一騎打ち前についセーブしてしまうと、その時点で勝てるレベルになっていなかった場合完全にゲーム全体が詰む。自分はこれで14時間分やり直した。本当に苦しかった。これからやる方は本当に注意してほしい。

 

FF零式

・キャラクターそれぞれの戦闘スタイルの差別化が明確で、何通りものアクションを楽しめる。

・かなり残酷な世界と、戦争を明確に扱ったストーリー

・衝撃的なエンディングと、主題歌のマッチング

 4つの国が戦争状態にあるなか、その兵士として訓練されたクラスゼロのメンバーが、領土を拡大したり取り戻すための作戦に挑んでいくという話。ファンタジックさを重視するFFとしては珍しく、戦争で人が死ぬ、ということを明確かつかなり血なまぐさく描いている。秀逸なのは、人が死ぬと、その人のことを忘れてしまう、という世界設定。死してなお記憶に残っていればその人は心の中で生き続ける、というのが現代人の重要な価値観だと思うけど、それを明確に否定する世界設定の中で、クラスゼロのメンバーや周りの登場人物達はいったい何のために戦い、生きて、死んでいくべきなのか、ということに苦しむ。その切なさを描いている。

 エンディングが、BUMP OF CHICKENの主題歌と相まって、とにかく胸に残る。

 世界観は重いけど、アクションは触りやすいしグラフィックもキレイでキャラもたっているので、比較的触りやすい。PS4版がでているのでやるならそれが良いと思う。

 

以上、長々読んでいただいた方ありがとうございました。

FFはなんだかんだで世界的に注目される、常に新作を待たれているゲームシリーズだと思うので、懐古商法にばかりいかずに、新しい挑戦をして新しいゲーム体験を提供し続けてほしい、というのが一ファンの願いです。FF7リメイクももちろん楽しみだけど、FF16待ってます。

 

 

 

 

『しまなみ誰そ彼』感想

鎌谷悠希さんによる漫画。全4巻。

ここ数年読んだ中で一番自分の肥やしになってくれた漫画で、稀有な作品だと思うので以下感想を書きたい。

隠の王、少年ノートのネタバレが入っているので未読の方は注意願います。

 

1、鎌谷さんの作品について

 いきなり過去作の話になってしまうけど、鎌谷さんの作品を最初に読んだのは『隠(なばり)の王』だった。アニメ化もした結構な人気作。最初は線が綺麗だったのと、シュールな感じ、独特の規模の小ささみたいなものに惹かれて読んでいたのだけど、途中から少し雰囲気が変わってきて、ちょっと特別な作品だな、と思うようになった。一番それを感じたのが、主人公の壬晴と宵風が二人で逃げる最中、ヒッチハイクで農家のトラックに乗り、笑いあう場面。2人の気持ちはすれ違っているけれど(壬晴は宵風に生きてほしいが、宵風はいなくなることを望んでいる)、2人が共有している感情は同じ、ということが分かるような場面を、とてもノスタルジックに描いていて、その他の漫画として華のある設定(忍者とか高校生とか王をめぐるなんたらとか)でなく、その二人の感情の共有に作品のピークを持って行っている感じが凄く良いなと思った。その後(ネタバレだけど)宵風を失った壬晴は、そのかすかな痕跡を探す中で、宵風の存在を忘れてしまっても、彼に感謝している人、気にかけている人、そして彼を待っている人がいることをしっていく。そういう値段にならない人の価値のようなものをそっと描いていて、読み終わってからもとても心に残っていた。何よりも、漫画でそういう繊細な感情を教えてくれる作品があるということが嬉しく、当時思春期くらいだった自分にはとても貴重なことだった。

 そして次作『少年ノート』では、思春期の喪失を卓越した画力で描くとともに、彼ら彼女らの感覚を一つ一つを鮮やかに掬い取ってくれていた。個人的に印象的だったのは、歌う人になりたいと気づいた町屋にとりかえしのつかない出来事がおき、親族もなくし、どうしたらいいかわからない、どうしたらいいのか、と穣を見つめるシーン。その眼を受けて、穣は意図的に「逃げる」。自分の感情にさよならできずに「大人」になった穣の存在は、豊かな感受性をもって生きていくことの難しさと、ある種の放棄を、思春期のその先として描いていて、隠からまた一歩進んだテーマでした。

 変わっていくということの、言葉にし難いもどかしさ、喜び、せつなさを、とても的確な表情で描いていて、豊かな感情の詰まった良作だと思います。

 

2、しまなみ誰そ彼について

 そして、本作。尾道を舞台に、談話室の人々を描いていますが、本作は思春期の感情という鎌谷さんのステージを踏まえつつ、より全年齢的に、「人をわかろうとする」ということについて踏み込んだ解釈をかなり的確な形で突きまくっていたと思います。

 主要な登場人物たちは、簡単な言葉でいえばゲイだったりレズビアンだったりして、普通の生活のなかで生きづらさを抱えている。でも、彼らはべつにそれを社会とか他人に認めてどうこうしてほしいわけではなく、ただそういう項目を持っている人間として、自然に生きたい、というだけ。それを卑下や憐みや特別な扱いの対象としてみる人たちと付き合わされることが、彼らにとってどれほどのストレスか、ということを描いたシーンが作中にあって、それが凄く印象的だった。4巻という短い作品だが、読むうちに「特別な誰かがどうみられるか」ということではなく、「誰も」が色々な「項目」(性別、職種、出身、趣味、家族構成、年齢etc)を持ちながら生きてるけど、その「どれかだけ」でその人の人格を決めつけられるのは苦しいよね、ということに気づかされる。じゃあ何がその人の人格にとって大切なのかといえば、「どうありたい」とか「どうしたい」というその時々の意思の積み重ねであって、そういう意思を得る瞬間の尊重と、もし可能なら一緒に生きていけたら、すてきだよね、っていう話だったんじゃないかと。

 特に素晴らしいなと思ったのは、そういう当たり前なんだけどいざ一体一でやりあうと伝わりづらかったり複雑な話になるものを、複雑なまま、かつ素の感情の純度を保ったまま、鎌谷さんが類まれな画力で表現していること。せりふ回しやモノローグの表現も深みと哲学にあふれていて素晴らしいのだけど、何より表情でその瞬間の感情を伝えるのが巧くて、顔の作画から登場人物の諦めや決意が伝わってくる。お話が進むごとに、人が人を好きでいるときの表情、わかろうとするときの恐れと決心、誰かのために涙を流すときの悔しさなど、生の表情が沢山詰め込まれている。その表情に読み手は魅せられてしまって、抱えている項目よりも感情が尊いということを説得的に教えてもらえる。そういうことができる人を、表現者というんじゃないかと思う。

 

3、さいごに

  ツイッターなどをみるに、たぶん豊田夢太郎さんという漫画編集者の方がこの作品を世に出して認知されるための様々な努力をされたんじゃないかと思う。素晴らしい作家と、想いをもった編集者さんが一緒に作ってくれたから、自分も作品に出合えって感受性をはぐくんでもらえたわけで、とても感謝している。こういう作品が広まったら、世の中はもっと自然体でみんなが歩けるようになるんじゃないかなと強く思う。

映画 コンフィデンスマンJP「ロマンス編」(ネタバレなし)

まんまと騙された。

これはみんな騙されると思う。特に後半非常に面白かった。

キャストもめちゃめちゃ豪華だ!

 

エンタメ大作でみていて楽しいし、詐欺だけど明るくて安心して見れるのがいい。

ドラマシリーズから追っていると、非常に楽しい2時間を送れると思う。

 

ただ笑って騙されて爽快というだけでなく、脚本に、立場や肩書ではなく人の良さをちゃんと見るという姿勢がでていて、そこがとても好きです。

本当に笑いと愛に満ちていて、ずっと続いて欲しいシリーズだなと思った。

蒼穹のファフナー THE BEYOND 感想(ネタバレ)

見てきました。めっっっちゃ面白かった。見るか迷っている方がいたら是非劇場でみることをおススメします。ファフナーシリーズは途中から入るのは敷居が高いと噂ですが、今回は新規主人公ということもあり、ファフナー初見の方もとりあえずいっぺん見てみてもいいんじゃないかと。

いままでファフナーを追いかけてきた方は絶対みた方が良いと思います。この作品やっぱ凄い。というか、今までを超えてきた感が凄い。

以下ネタバレ全開の感想です。いいよ!ってかたは駄文にお付き合いいただければ幸いです。

 

 

 

1話「蒼穹作戦」 

竜宮島部隊の成長がすごい。

さっそく攫われた総士を取り戻すため島の全勢力で取り返しの大戦闘からスタート。そこにバーンズひきいる人類群もいてもう情報量がめっちゃ多いんだけど、とにかく総士を取り返す竜宮島勢VS総士を平和な場所(誰かのために誰かが犠牲にならない場所)へ連れていきたいマリス達という構図が結構わかりやすいので、何とか頭で整理して話をおえる感じです。そして何より大気圏突入してパカーっとロケットからでてくるエレメント3人衆+美羽ちゃんが格好いいわ、まじで。そしてそこに加わる島のファフナー部隊のみんなの成長した姿。史上最大級に戦力が充実している(気がする)。みんなかけあいなしでも見事な連携で、各機体の個性も存分に発揮され、まさに機体と自分を信じて守り合いながら戦っているし、戦いながらもやはりフェストゥムにあくまで対話・調和を求めるスタイルを大切にし続けているんですよね。もはやファンが「こんな展開がみたい」と思いつきさえしないような理想の、ファフナーならではの大興奮の展開ですよ(伝われ)。

新キャラはマリス??フロロ?だれ?みたいな感じで、なまじ顔は知ってる人たちだから混乱するんだけど、とにかく総士をさらっている彼らは「誰かが誰かのために犠牲になる生き方」を否定したいらしいですね。彼らは彼らなりに総士のためにというのがあるみたいで、EXODUSまでで「命の使い方」として一応は肯定され、前向きに受け止められていた竜宮島の人々の生き方をしょっぱなから否定する存在が現れた、ということがまず凄く面白い。いままで視聴者にとっても、竜宮島のその点って、前向きにうけとめざるを得ない、肯定しなきゃ彼らの生き様の否定になってしまう、といういわば価値観のアキレス腱みたいなところだったと思っていて、そこについて視聴者がもっていたモヤモヤ感を具体化した存在が今回の対立するコミュニティ、という構図なのかな、と思いました。なので、彼らのことは全然しらないけど理解はできるな、と思える。そことのがっつりした戦闘を1話にするなんて、そんなん面白いに決まってるやないか。

戦い方も新鮮でした。特にセレノア(見た目弓子)のクロッシングで同化する戦法。ありゃ強いわ。ファフナーの肝であるクロッシングを彼らは学習し、そこを利用して攻める手段をあみだしているなんて、フェストゥムってマジで学習能力が凄いですね。フェストゥム職場にいたらめっちゃ仕事できるんじゃね?って思いました。煩悩ですね。

里奈のシーンは大分ヒヤヒヤしました。スイの来い!!の切実さが素晴らしかったですね。レオ・スイ・ミミカは立派に成長していて、頼もしい。三人ともイケメンになりすぎて、きっとカノン先生も感慨深いと思います。あと真矢。今作全体的に少年総士と美和が主役なので、一騎も真矢も大人として、彼らを支える存在として描かれていく感じがしますが、真矢については1話から弓子の見た目した相手に目を同化されるという不憫さ。これ視力なくなっていつぞやの一騎と逆の立場になるのではと焦った視聴者は私だけではないはず。見えてるみたいで良かったです本当に。3話でも総士相手に辛辣ポジをとりますし、今作の真矢は辛い・厳しい役割が多そうです。こんだけ総士が可愛いなかでキツイ態度とってると視聴者にすら嫌われるのではという心配すらしてしまうレベルです。真矢には幸せになってほしいですが、今のところ笑顔ゼロ、幸せになる気配ゼロですね・・・。

 

OP「THE BEYOND」

1話の最後でOP来ましたね!めっっっちゃいい!!!

正直今までのOP映像で一番カッコいいのではないかと。超かっこいい。youtubeで公開してくれないかな。曲の構成もザ・OPという感じの盛り上がりで最高ですね。イントロの島唄感と、いっきに引きで島の全貌を見せる流れ、しびれるわー。

かなりのカット数だったと思うので、まだ未登場のキャラのカットなど、想像を掻き立てられます。いや本当、OPのためだけにもう一回行きたいくらいです。

 

2話「楽園の子」

フェストゥム側の成長が凄い。

マリス(エスペラント)がいるとはいえ、まさかフェストゥムが島ごとパクってくるとは(言い方が雑)。

竜宮島の楽園とはまた別の意味での楽園をこういう形で魅せてくるのは本当脱帽です。しかも今度は一騎たちがそれを壊すという展開。島がやってることは奪われた総士を取り返すことで、道理にかなっているしそれが総士の求めた真実でもあるんですけど、その過程でこういう壊すものもあるよっていう構図が今作はよく見えますね。今までは竜宮島の相手が擁護しようのない核おじさんとか核おばさんとか愉悦系大型フェストゥムとかだったので、とにかく視聴者が全面的に島の側に立てましたが、今作は島の側にたちつつも、その過程で壊れるもの、奪うものもこれまでよりガッツリ描かれていて、そこのケアを大切にしている印象を受けます。奪っている、壊している事実を知った上でどう対応するかを主軸に置くことで、より大人な物語として訴えているような。その上で思考がわかりやすい少年総士視点だから、ストーリーとしては凄く追いやすい。作ってる人、マジで頭良いなー・・・。

マリスは脆さを分かった上で作り物の家族の生活を見守っていますが、フェストゥムからすると、平和の条件ってこれでそろっているように見えるんだなっていうのがね。。それだけでもう示唆に富んでいるというか、ファフナーという物語のゴールの1つがフェストゥムと人との相互理解だとすれば、竜宮島を学習して、そのうえでフェストゥムが少なくとも形式的に家族も平和も作り出したというのは、凄い進歩じゃないかと感動するんですけど、でも、やっぱりこれが平和・家族なのかといえば違和感はあるし、一番前提になるところを隠した関係ってもたないんだなぁと、、、。あと凄く思ったのは、こういう環境で真実を追い求める総士は、やはり「総士」なんだなぁと、違う人間ではあるんですけど、そう思わずにはいられなかったです。

EDも、良かったですね。少年総士が青年総士と別個の存在として運命ではなく彼の人生を選択し自立したときがTHE BEYONDの終わりなのかな、とちょっと思ったりもしました。いや、違うかもですが。

 

3話「運命の器」

当面の目標:怒りをしずめる。

総士、すっごいまっすぐで良いですね。ていうか喜安さんは凄いですね。総士だけど完全に少年の総士だ。喜安さん、凄いですね(語彙力)。

島を疑いまくる総士、でもめっちゃご飯食べて島のみんなから可愛がられる総士、最強兵器をつかって早速島を破壊しはじめる総士、もう総士無双だ。

この話ではキャラみんながどうなったのかもわかって、ファンには嬉しいシーンもいっぱいでした。ミミカが相変わらず明るくて良い。お母さん勢がもはや若すぎて不安になる(容子さん若返り問題)。小楯さんたちの会話も島の日常を感じられて、ファフナーの温かさが分かるシーンがみれて幸せでした。パンフで知ったんですけど、ケンジとさくらの子供は衛一郎なんですね。彼らにとって大切な人たちが、こうして次の世代にもつながれていくという事実に愛情を感じました。真矢の厳しさも、もしかして前の総士ポジを受け継いでいるんですかね。だとするとだいぶ胸が熱くなりますが、SDPの副作用で感情がどんどんなくなってきているという可能性もあるような(完全に同化をおさえることはできないってパンフにもかいてあったし)。

あと、ルヴィ・カーマ!あのとき総士と同時に生まれたコアの子ですよね?大きくなって、、。彼女も彼女で背負うものが大きいですね。本当幼女たちの人生がハードモードすぎる。それ以上にディランがついてることに驚いたけど、彼もパペットとしてでない役割を得られてよかったなぁ。

引きが良すぎて、第4話が楽しみでしょうがないです。一騎ねてるらしいから真矢・美羽たちで抑え込むのかな。

 

ファフナーが積み重ねてきた重みを、新しい形でエンタテイメントとして魅せにきてくれたTHE BEYOND、想像以上の面白さでした。12話じゃ終わらなさそうだから2クールかな?続きも全部先行上映してほしいくらいですが、とにかく放送(?)が楽しみです!スタッフさまキャストさま、素晴らしい作品をありがとう!!

 

 

 

 

 

 

ミヒャエルハネケ『Happy End』感想~よくわからないが危機感が凄まじい~

※ラストシーンまでのネタバレを含みます。

 

 

 

角川シネマでみてきました。自分が見た回は平日夕方にも関わらず結構席は埋まっていて、映画ファン的にはやはり待たれていた作品なんだなぁと思いつつ視聴。前作『amour』をみたときは、ハネケ監督の事実を映画として写し取る手腕の正確さとその事実の重みに涙がでたのですが、本作はそれとはかなり違う感覚を味わいました。以下ネタバレしかないので見てない方は読まない方が良いかも。

 

 

自分の脳みそ不足かもしれないのですが、見終わって、おもわず横の席の人に「今のシーン、わかりました?汗」と聞きたくなるくらいラストまで??・・・??というシーンが多く、見終わって暫くはこの映画はなんだったのだろう、と困惑していました。というのも、普通に物語の流れを負う上で最低限必要になるような描写が結構ざっくりカットされている構成なんですよねこの映画。さっきまで普通に家の中だったのに次のシーンでいきなり病院でベッドの上に孫娘が寝てる、みたいな感じで。でもそれまでのシーンや話の流れをみていれば、「あ、もしかして自殺未遂したのかな」と察しが付く。でもその描写は一切なしで、会話の端で事実を推測できる、というような場面がかなり多い。なので見ていてその都度「これはどういう意味のシーンだ?」と頭を回転させないといけない。見る側に集中と解釈を否応なく求めてくる映画だと思いました。

 孫娘、叔母、父、祖父と大まかに4人の話が展開していて、SNS等では本性を出しているんだけど家族の会話では全くお互いの心の内を共有できていない、いっしょに住んでいるのに互いのことがわからない、そういう印象を強く受けるので、これはSNSにより崩壊している家族の話という解説がよく見られました。実際そういう側面があると思う。けど、個人的には現代人の想像力の欠如が今作のテーマで、SNSはあくまでその一要因なのかなと感じました。実際イザベルユペールが扮する叔母はそんなにSNSばかりではない。けどビジネス人としての自分を母としての自分より重視している節があり、だから精神的に苦しんでいる息子と一対一での対話ができておらず、どこか息子を「マトモ」にせねばという枠で対応していて、息子自身の枠に入ってみようという発想はない。父親もツールこそチャットだけど、チャットのせいでそうなったというよりは、もともとの不満点や欲の捌け口としてたまたまチャットがそこを埋めてくれたという感じがする。共通するのは各人の自己中心主義的な過ごし方とそれを促進し手助けするSNSやケータイ・PCといったツールの存在。そして彼らからボケたと内心切り捨てられている祖父。祖父だけはおそらく、自分の都合ではなく、妻のことと、家族のことを最も見て考えているのだと思います(でないと来て間もない孫娘の罪には気づかない。息子の愛人の演奏自体について唯一感動してそれを伝えに行ったのもこの人だったし)。

 本作は噛み合ってない会話が多いなか、唯一後半の祖父と孫娘の会話のみ、互いの真実を突き詰めていると思います。祖父は妻を殺害したという事実を孫に伝え(これが前作まるまる見た後だと圧倒的に重い事実だし、そのことを寸分も後悔していないという祖父の言葉は前作への一つの明確なアンサーとなっている)、孫娘に「何をしたんだ?」と問う。孫娘は母を毒殺していますが、友達に薬をもった、と目を潤ませながら答えるのみで、真実を明かさない。これは非常に子供っぽい逃げで、このシーンの解釈次第で作品テーマが見えうるのかなと思います。

 祖父は妻の長い介護の末、おそらく彼女を最大級に想い、悩んだ末のもっとも切迫した現実的手段として殺人を選んでいた。それに比べて孫娘は母が「クソウザイ」から殺したし、その事実の意味をおそらくよくわかっていない。同じ殺人でも二人がその事実について費やしている覚悟の量は全く異なり、孫娘は母の殺人と向き合ってなんていないから、そこを糾弾されて子供っぽく別のことでごまかしている、という場面なんだと思いました。けど、しばらく考えるうちに、祖父の「何をした?」=「お前の罪は何だ?」なのだとすると、孫娘にとっては母を殺したことは罪だと思っていなくて、むしろ友達に薬をもったことのほうが悪いことだったから(実際にそれをしたのだとしたらだけど)、そっちを答えたのかなとも思いました。つまり母殺しは彼女にとってはそのくらい主観的に軽いものだったんじゃないかと。友達への情以下の情しか持ってなかったから罪の意識も芽生えないのではないかと。いずれにせよ孫娘の情の軽さを非常にリアルなものとして描いていて、その一因をおそらくスマホによる面と向かった中身のあるコミュニケーションの欠落だとしているのですが、孫娘にとっての罪の意識が後者の解釈通りだとすると、その欠落っぷりがどれだけヤバい次元に来ているかもさらに強まるように感じました。もはやここまで最も近い他人である家族のことを想わないなんて新人類ですよ、的な。実際、序盤の車のシーンも自殺未遂後のシーンも、彼女は自分の危機や辛い状況については涙を流すんですよねー…。究極には自己中心的なこと、その自己中さを顧みないこと、が見る側にも突きつけられているというか。殺人は重罪ですが、前作を見ているとそうやって行為だけで一括りにする怖さも考えざるを得ないので、このシーンについては意味を何度も考えてしまいます。

 にしても孫娘がめっちゃ可愛い子で瞳が純粋なので、絵的にはもの凄く目が離せなくて、簡単に「現代っ子」と片付けられない。人間の本質自体社会の変化で変わってきているのではと思わざるを得ないような感覚がしました。さいご祖父は自ら入水しますが、これも今の人間に見切りをつけての行動なのかな、と思ったり。彼にとっては贖罪でもあるかもしれませんが、彼の年齢が監督のハネケの年齢と一番近いことも考えると、ハネケ監督はもう今の社会に結構呆れまくっていて、こんな世界もう見捨てたいのかもしれないとも思いました。また新作がみたいです。

 

映画『ソロモンの偽証 前篇・後編』感想

原作未読。BSで視聴したので感想を少し。

ラストまでのネタバレめっちゃあります。ご注意ください。

 

 

 

 前・後編あわせて5時間と、映画としてはかなりボリュームのある作品でした。

 監督は『八日目の蝉』『ちょっと今から仕事辞めてくる』の成島出さん。どちらもかなり好きな作品で、俳優を活かすのが上手い監督さんだなという印象があります(※そんな偉そうに語れるほど邦画監督に詳しいわけではない)。ドラマとかだとサラッと流れてる感じの演技の若手俳優さんもじっくりとっているというか、その人がどういう役、どういう表情のとき光るかを掴むのがすごく上手いというか。八日目の蝉の井上真央とかちょっと今からの福士蒼汰とか、他の作品よりずっと輝いていると感じていたので、今作はどんなかなーと思って視聴しました。原作は宮部みゆきさんの大作。未読なので、的外れな解釈があったらごめんなさい。

 

 

 前篇凄く引き込まれて良かった。そもそも設定からしてかなり重い(同級生の死、家庭内暴力、壮絶ないじめ(というか完全に傷害レベル)など)ので、この作品が自己存在への疑念や罪の意識、劣等感など当事者となった中学生の内面を抉り出したいタイプの作品なのだというのはしっかり呈示されていたと思う。少なくとも大人世代が「まぁ子供だからなー」とか上から目線で見守ることを求めている作品ではない。特にじゅりちゃん、松子への容赦ない大出たちのいじめ(というかこれは完全に暴力)描写は見る側に「見ろ!」といっているみたいで、鬼気迫るものがあった。あのシーンは単なる強者の弱者いじめではなく、この場面では形式上強者である大出が父親から抑圧されておりその捌け口として自分より力の弱いものを抑圧しているという背景や、それを受けて強い憎しみを抱き拗らせるじゅりと、それを受けてもただひたすら純粋に良い子でありつづける松子との対比及びその背景にある親の感性の格差、現場を見て助けに行けない藤野の弱さと罪悪感と人間の本性、といったさまざまな要素が練り込まれていることが後にわかる。全編通して、柏木の死の真相も気になるが、それ以上に学校内裁判を通じてこの子たちのどういう面がみれるんだろう、という興味で視聴熱が上がったように思う。

 後編も、中学生たちの「この裁判意味あるのかな、できるのかな」という不安感と、やりとげなければという責任感が混在する感じが伝わってきて、裁判本編の形式もとてもしっかりしていて見ごたえがあった。特に裁判終盤の神原が大出を責め詰めていく場面はすごく切迫した正義感がにじみでていて、引き込まれた。神原の自分の罪を裁いて欲しい、という動機も個人的には納得いくものだった。けど、ラストの締め方が…うーん、、いじめとか教師側の対応の問題の根深さにこれだけ突っ込んだのに、後日談で「あの裁判のおかげでこの学校ではいじめがないんです」と校長が言いきったり、松子の両親がさらっとしすぎだったり、急に妄想の激しかったはずの隣人謝りにきたり、シメがノリのいい洋楽でさわやかだったのはちょっと、違うんじゃないかなぁというのが率直な感想でした。それでいいのかと。ただの憶測ですが宮部さんやこの物語が描きたかったのは、いかに当事者たちの悩みや苦しみが複雑なもので、それは当事者だけでなく周囲の人間にも帰属するものだということだと思うので、それをまとめて綺麗に解決しましたって感じで終わらせるのは納得いかなかった。じゅりが神原による大出の詰問を見つめる場面の嬉しさと苦しみのない交ぜになった感じとか、最後の藤野さんとお父さんの会話で藤野さんがすごく中学生っぽかったのとか、良い場面は多かっただけに、最後やっぱ残念だったなー…。これじゃ松子報われんやろ。

 みんな何かしらの罪を負っている、というのが主題だったのだとすると、それを14歳の彼女たちが自分達で導き、大出についてはそれをある意味裁き、さらにはあの場にいた全員にその罪の意識を芽生えさせたという点で、この裁判は大きな意義をもっていたことになる。現実の大人社会よりも、よっぽど裁かれるべき本当の罪がちゃんと明らかになっているのではないかとも思った。オーディションで選ばれた中学生役の子達の切迫した演技が、さらっとみようとする視聴者側の意識を突きさしてくるような感じがあって良かっただけに、無理に綺麗にまとめてしまう必要はやっぱりなかったと思う。個人的には、柏木君のかかえる闇の片鱗に藤野が少し辿り着くような展開も見れたら良かったなと思った。