arukikkuの日記

映画、ゲーム、小説、漫画、アニメ、などの感想。独断と偏見で好き勝手に書いてます。

【ドキュメンタリー要約】RBG最強の85歳

ドキュメンタリー要約を始めることにしました。

昔から、世の中に数多あるトピックについて網羅的に把握してその核心を理解したい、という欲が強かったのですが、30年弱生きてきた中で、今のところドキュメンタリーはそのニーズに最もマッチする媒体だと感じています。

報道番組はその日時周辺の情報を断片的にしか伝えないし(おまけに多くの場合圧力がかかっているし)、新聞の社説は内容が短い場合が多いし、ネットの情報は真偽の裏がとりにくいし、関連書籍は詳細だが読むのに時間がかかる。一方、ドキュメンタリーは大抵1~2時間程度でそのトピックの概要と主なポイントが関連映像・関連者の発言などを交えてまとめられていて、非常に効率が良いです。勿論質が悪いと言いたいことが散漫だったり無理にストーリー付けされて事実が分かりにくかったりしますが、最近特に視聴しているBS世界のドキュメンタリーNHKスペシャルなどはどれも質が高く、かつグローバルで多種多様なトピックを取り上げてくれます。で、そんなドキュメンタリーを見て学んだことを後から思い出せるように記録しつつ、同じようなものを求めている人にとっての参考になればという趣旨で、ドキュメンタリー要約を始めることにしました。

タイトル、製作年、制作国(メディア)、概要、要点をシンプルにまとめるだけですが、これからドキュメンタリー見る度に書いていきたいと思います。 

 

〇RBG最強の85歳について

<概要>

 米国最高裁ルースベイダーキンズバーグ判事の生涯と功績を前後編1時間半にまとめたもの。昨年87歳で亡くなったこともあり、世界のドキュメンタリー選で放送。

 製作は米国の女性監督ベッツィ・ウェストとジュリー・コーエン、配給ファインフィルムズ。

 

<要点>

・性格

 RBGは学生時代から控えめな性格でじっくりと考えるタイプ。議論でもあまり発言せず、じっくり聞いて重要な点だけ発言する。法律の仕事が大好き。趣味はオペラ鑑賞で、仕事を忘れ歌の素晴らしい世界に没頭できることが魅力とのこと。

 

・功績

 ハーバード・コロンビア両校のロースクールを優秀な成績で卒業したにも関わらず、女性であったためNYの法律事務所に受け入れられず、ロー・クラークとしてキャリアスタート。ロースクール教員やアメリカ自由人権協会の法律顧問になり、女性への差別が人種差別と同様に存在することを訴え、憲法修正第14条を根拠に女性差別違憲の判決を勝ち取る。その後も複数の女性の権利に関する訴訟で勝訴。60代で最高裁判事に就任し、中絶の禁止を定めた州法の改正へ貢献したほか、バージニア州軍事学校への遊学者を男子に限定する規定を違憲とする判決を手掛けた。

在職中から2種類のがんと闘病し、87歳ですい臓がんの合併症のため死去。闘病中もトレーナーをつけて筋トレなどを行っていた。

 

・夫マーティン(弁護士)

 彼女を公私で支え続けた生涯のパートナー。RBGと異なり社交的で、真逆の正確にもかかわらずRBGと相性が良く、最高裁判事指名についても彼の働きかけが候補者の中で22,23番目だったRBGを1番にのし上げた。RBGが忙しいときにもご飯の時間になると事務所から彼女を連れ帰るのが習慣だった。2人の子供の世話も2人で分担し、料理はマーティンが担当。

 

・意見が真逆な立場の人との関係

 同時期に最高裁判事で最も保守だったのアントニン・スカリハは、リベラル派のRBGとは法廷での意見が真逆であったが、プライベートで非常に仲が良く親友だった。一緒にオペラを見に行くことも。スカリハ曰く、「彼女はオペラが好きで、良い人。嫌いになる理由がない。」とのこと。RBGはスカリア氏が亡くなった際、哀悼の辞として以下述べている。「(二人が一緒に出演したオペラで)『お互い違っていても私たちは一つ』というデュエット曲を歌います。お互い違うのは法律の解釈であり、一つなのは憲法最高裁に対する尊重でした。」

 

最高裁判事指名の経緯

 クリントン大統領時代に、上記のマーティンの働きかけもあって、RBGはホワイトハウスクリントン大統領と面会した。大統領のインタビューの中で、指名の理由について以下の通り述べている。「15分程度話をした時点で彼女を指名すると決めた。大統領と弁護士としてではなく、お互い一人の人間として、これからの法がどうあるべきか、という意見を率直に交わせた相手だったからだ。」

 

・裁判官としての公正公平と法廷外での影響力

 それまでのキャリアでずっと、法的に冷静な意見を述べ続けてきたRBG。しかしトランプ大統領に対して、「ペテン師」と珍しく感情的な発言を表明した。これについて、事後に謝辞を述べ、何も言わないことが賢明だった、と話している。法廷内でも最高裁判事として多数の反対意見を述べ、その反対意見は非常にSNS等で注目されていたが、法定外での発言も強い影響力を持つようになったRBG。しかし、裁判官として公平性を尊重すべきとインタビューで語っている。また、オバマ大統領のうちに辞職して後任を指名させるべきという意見に対しては、全力で職務に臨める間は職に就き続けるし、そうでなくなれば辞職する、と答えている。