arukikkuの日記

映画、ゲーム、小説、漫画、アニメ、などの感想。独断と偏見で好き勝手に書いてます。

life is strange2 感想

1、ネタバレなし感想

 ローカライズしてくれたスクウェアエニックスに感謝しかない。本当に。ずっと待っていたので日本発売が発表されたときはものすごくうれしかった。社会人になると、こういう好きな作品が本当に日々の支えになると実感しますね。

 本作、マックスもクロエも出ないけど、間違いなくライフイズストレンジの精神を引き継いでいるので、1が楽しめた人はぜひプレイすることをお勧めする。1をやっていない人も、ここから入って全く問題ない。

 どういう部分がライフイズストレンジの精神だと感じたかというと、まず主人公になっている感。主人公の親しみやすさや、日常の何気ない動きから入る作品の質感から、気づけばマックスやショーン(本作の主人公)と感情を共有している。このシリーズは、それを自然にできるところが凄い。だってマックスはアメリカの女子高生で、ショーンはアメリカの男子高生(メキシコ系アメリカ人)で、普通の日本人プレイヤーには体験できないような文化の中で生きているから、なかなか感情移入のハードルが高いはずなのに、本作はどこか景色も家も、家族も懐かしく感じる。そういう部分が、ゲームという没入感の高いメディアの魅力であるし、本作はそれを存分に生かしていると思う。

 前作と大きく違うのは、前作がアルカディアベイという主人公が住む町でおこる一連の出来事だったのに対し、本作がひたすら「逃げ」の旅であり、景色も出会う人もどんどん変わる、ということ。そのなかで、ショーンを通して人の優しさや怖さ、差別、恐怖、壮大な自然、そして家族との絆を体験することになる。出てくる人物たちはとても魅力的で、その人たちと、現実世界じゃ絶対にやらないだろうな、というような経験も色々する。普通のゲームでは描かないだろう際どい部分にもかなりトライしていて、そこもまた新鮮。個人的には、特にEP4以降で、会話や周りの人々の生き方に引き込まれたし、結末もそれまでの時間をふまえるととても意義深いものだった。

 ぜひ、いろんな人にプレーして、ショーンとしてこのゲームでの出来事を経験してほしい。

 

 

2、ネタバレしかない感想 

 未プレイの方は読まずにぜひ作品をプレーしてください。

 また、本作は選択によって展開が変わるので、あくまで以下の感想は自分がプレーしたときの展開や結末についてだけ書いています。

 

 

 感情を重視するストーリー。1のときもそうだったけど、今作も、最終的なトゥルーエンドと思しき展開は、客観的には、ハッピーエンドではないと思う。前作は最後マックスがクロエを見殺しにする(つまり何もしないで親友を失う)というもので、外形だけ見たら、この物語をへても経なくても変わらないものにみえる。でも、プレイヤーはその選択をせざるをえない理由をわかっているし、その間にあったことが決して無意味なことではない(むしろ唯一無二の時間だった)ことを知っている。今作も、結局ショーンは、現実をうけいれ、自首する。なら、最初から自首すればよかったじゃん、と思う人もいるのかもしれないけど、ショーンになってこの時間を過ごしていれば、その間に色々なことがあって、無駄じゃなかったことをわかる、という仕組みになっている。

 特に大きかったな、と思うのは、兄弟の絆が確固たるものになったことと、母との和解、そして旅の中での出会いを経験できたこと。それがなければ、ショーンには絶望しかなかったし、刑務所をでても、待っていてくれる人がいなかった可能性が高い。この旅を通じて、ショーンは心の支えを得たということだと思う。

 終盤、ショーンは悪くない(事情があってやってしまった)んだけど、自分の置かれた状況を弟のために背負った。この辺りは、正直刑罰って何だろう、誰を裁くためにあって、何のために裁くんだろう、と凄く考える部分だった。悪い、悪くないっていうのも、例えば日本だと刑法に基づいて行為を基準に決めていくけど、それって個々の事情は裁判官の裁量まかせになっていいのかな、とか非常に考えさせられた。その人に非がない場合でも、家族と離れさせてまで罰を受けさせるということが、それ自体とてつもなく罪深い気がして、いったい罪と罰って何だろうなと。

 道中へて、ジャーナリズム、人種差別、性差別、移民のミクロの現実、薬物と金と生活など、現代社会の知らなかった部分をショーンを通してごく一部だけど経験できた気がする。特に差別を受ける側の理不尽、罪を着させられる側の苦しみ、を味わい、心底怒りがわいた一方で、それを現実として受け入れるしかないむなしさを感じた。

 そんな経験をさせてくれた本作に心から感謝するし、DONTNODは素晴らしいクリエイターたちだとまた確信できた。ローカライズして届けてくれたスクエニのスタッフの方々にも感謝したい。いいゲームに出合えてよかった。